2024年9月8日(日)、PLAY新丸子サロンホールにて、ピティナ(一般社団法人全日本ピアノ指導者協会)が後援する企画「グランミューズ・サロン」が開催されました。本企画は、「ピアノを始めたばかり」という大人と、「ピアノをまた弾き始めました」という大人が集う、ピアノの弾き合い会です。アドバイザーやピアニストはおらず、参加者同士互いに質問しあって、楽曲、演奏、そして音楽全般について楽しく語らいます。
ファシリテーターを務めるのは浅田陽子さん。ピティナ企画、グランミューズのためのオンライン座談会の司会進行役を務めた経験をおもちで、今回の企画立案者でもあります。本企画は“ゆるピアノ”の部と“ガチぴあの”の部の2部制で、それぞれのレベルや希望に応じて好きな部にエントリーすることができ、全体を通して聴講することも可能となっています。
おしゃべりも楽しく盛り上がる、“ゆるピアノ”の部
“ゆるピアノ”の部は、「初めてグランドピアノを弾きます」「まだ片手しか弾けません」「一曲全部ではなく好きなところだけ弾きます」の方も大歓迎。ファシリテーターの浅田さんが、「緊張するような場ではないから、井戸端会議のような気分で気軽に♪」とおっしゃいますが、やはりみなさん緊張の面持ちです。とはいえ、ひとたび音楽が始まると、みなさんのお顔には笑顔が。大好きで練習しているピアノですから、やはり人に聴いてもらうことで楽しさも倍増です。
曲の難易度を問わず、大人の方々の演奏には、これまでの人生で得られたご自身の感性が表れるので、聴く人の琴線に触れるように思えます。浅田さんも「大人の方の演奏を聴くと、ここが好きなんだろうなあって伝わってくるんですよ」とコメント。一方で「好きなフレーズ以外も丁寧に弾かないといけないですね」と気づきを得るみなさんでした。
演奏の合間には、「ブルグミュラーは子供向けの曲集と思われがちですが、すてきな曲がたくさんありますよね」「わかるわかる!」と頷き合ったり、「この曲の情景を思い浮かべたくて熊野古道に行ったんです」「え〜〜!」と驚きを共有したり。大人になってから始めたという方がとても上手に演奏されたので、「一日どれくらい練習されてるんですか?」「どんな練習をしているんですか?」と質問が多く集まるシーンもあり、会話も大変盛り上がっていたことが印象的でした。
幅広いレパートリーに触れる、“ガチぴあの”の部
30分の休憩を挟み、後半の“ガチぴあの”の部へ突入です。“ガチぴあの”の部は、ピアノがとっても大切な存在となり、日常の一部となっておられるような方々に向けた場です。
こちらは難曲・大曲が大集合! 「先日のコンクールで弾いた曲です」「短時間で披露できるようレパートリーにしている曲です」「連弾に挑戦します」などさまざまな理由で持ち込まれたさまざまな曲を楽しんでいると、あっという間に時間が過ぎていきます。
曲の難易度こそ上がりましたが、初めて聴く曲があると「すごくいい曲ですね!」と新たな出会いを喜ぶ声が上がったり、さらったことのある曲に対しては「これ暗譜すごく難しいですよね」と共感の声が上がったりと、交流が盛り上がった点は“ゆるピアノ”の部と同様です。
ある方は情熱的な演奏のあとに練習時間を問われて「練習じゃなくて遊びという感じですけど、一日中弾いています」と回答。「マトリックス表を作っていて、どの曲をどれくらいの時間弾いてきたか把握するようにしています。そのおかげでレパートリーを維持できたり、新しい曲を勉強するときに必要な時間数が想像できたりするようになったんですよ」とおっしゃって、みなさんを驚かせていました。会のコンセプトにある通り、本当にピアノが大好きで、生活の一部にピアノが溶け込んでいる方々が集まった、情熱的な時間だったと感じました。
音楽を愛する人が集う場所
ファシリテーターとして見事に場を回してくださった浅田さんは、これまで15年近く、個人的に仲間を集めて弾き合い会を企画されてきたそうです。「ピアノサークルなども楽しいですが、一回きり気軽に参加することは難しいですよね。でも人前で演奏する機会はほしいもの。需要があるはずだと思ってPTNAに企画を持ち込んだんです」と浅田さん。早速、次回開催を熱望する声も上がっていました。
会場となったPLAY新丸子のホールの感想を伺うと、「すごくすてきなホールだと思いました。特にスタインウェイを置いているところが魅力的ですね。“ゆるピアノ”の部には、スタインウェイを初めて弾いたという方もいらっしゃいました。趣味でやられている方にとって、スタインウェイを弾く機会になかなか出会えないので、貴重な体験になったと思います」と浅田さん。参加者のみなさんも「シニアホームにしてくれたら住みたい」「昼から弾き合い会をしたら長生きできそう!」と笑いを交えつつ物件をとても気に入ってくださり、別のイベントで過去にPLAY新丸子に来たことのあった方からは「この会場だったから来たんですよ」と嬉しいコメントもいただきました。
音楽に魅せられた方々があらゆる垣根を超えて集まり、情熱と愛がぶつかり合う場である「グランミューズ・サロン」の魅力を改めて実感する日となりました。PLAYシリーズはこれからも、音楽を愛する方々に寄り添ってまいります。